アスファルト防水の撤去単価はいくら?費用の内訳とかぶせ工法との違い

「アスファルト防水の撤去単価はいくらか」を調べると、金額にかなり差があり、どの数字を基準にすればよいのか迷うことがあります。理由は、見積書に書かれている「撤去」が、防水層を剥がす作業だけを指す場合と、搬出・処分や保護コンクリートの撤去まで含む場合があるためです。


関東防水管理事業協同組合が2026年に掲載している費用例では、既存防水の撤去は500〜800円/㎡が目安とされています。ただし、下地調整、新しい防水層の施工、解体材・発生材の処分、材料の荷揚げ、仮設工事などは別に費用がかかります。見積もりを比べるときは、㎡単価だけではなく「その金額に何が含まれているのか」まで確認する必要があります。


参照:アスファルト防水とは?工法・耐用年数・補修のタイミングをわかりやすく解説




アスファルト防水の撤去単価は撤去する範囲によって変わる

アスファルト防水の撤去費用を見るときは、「1㎡いくらか」だけで判断しない方がよいでしょう。関東防水管理事業協同組合が示している既存防水撤去の目安は500〜800円/㎡ですが、この金額だけで既存の屋上を撤去して新しく防水工事を行えるわけではありません。


実際の改修工事では、既存防水層を撤去したあとに下地の状態を確認し、必要に応じて補修・調整を行い、その上に新しい防水層を施工します。撤去した材料についても屋上から搬出し、処分しなければなりません。


そのため、見積書に「アスファルト防水撤去 ○○円/㎡」と書かれていても、次の項目がその単価に含まれているかを確認します。

  • 既存防水層を剥がす作業
  • 撤去した材料の集積
  • 屋上から地上までの搬出
  • 廃材の運搬・処分
  • 撤去後の清掃
  • 下地の補修・調整


同じ「撤去単価」でも、ここまで含む見積もりと、単純な剥がし作業だけの見積もりでは金額が変わります。単価の高い・安いを比較する前に、作業範囲を揃えることが先です。

参照:アスファルト防水とは?工法・耐用年数・補修のタイミングをわかりやすく解説




撤去費用が高くなりやすい4つの条件


保護コンクリートまで撤去する必要がある

アスファルト防水には、防水層が表面に見えている仕様だけでなく、防水層の上をコンクリートなどで保護している仕様があります。後者の場合、内部の防水層まで撤去するには、上にある保護層も含めて工事範囲を考える必要があります。


防水層だけを剥がすケースと、コンクリートを撤去してから防水層まで取り除くケースでは、必要な作業量や発生する廃材量が異なります。「アスファルト防水撤去」という同じ項目名でも、既存の屋上がどのような構成になっているかで費用は変わります。



防水層の劣化や下地の傷みが大きい

撤去後に下地のひび割れや欠損などが見つかれば、新しい防水層を施工する前に補修が必要です。撤去単価そのものが同じでも、下地調整まで含めた改修費用は増える可能性があります。


アスファルト防水部会では、防水改修は既存の状況や漏水の有無、納まりの不具合などを調査し、診断したうえで仕様・工法を決める流れを示しています。撤去前に見えている防水面だけで、最終的な工事費用まで確定できないことがあります。

参照:JWMAアスファルト防水部会|建築防水分野



屋上から廃材を運び出しにくい

撤去した防水材は、その場に置いたままにはできません。屋上から地上へ降ろし、運搬して処分します。建物の高さ、エレベーターの使用可否、クレーンなどの揚重設備が必要か、敷地内に搬出車両を置けるかによっても作業条件は変わります。


施工面積だけを見れば同じ100㎡でも、低層建物の広い屋上と、高層建物で搬出経路が限られる屋上では、必要な手間まで同じとは限りません。



設備や立ち上がりなど複雑な部分が多い

平らで障害物が少ない部分と、配管・架台・設備基礎・立ち上がりが多い部分では作業効率が違います。細かな部分は撤去にも手間がかかるため、屋上全体の面積だけでは費用を比較できないことがあります。


見積もりを見る際は、平場と立ち上がりが別の数量になっているか、設備周辺に別作業が発生するのかも確認しておくと、金額差の理由を把握しやすくなります。




撤去単価を見るときは見積書の内訳を分けて確認する

アスファルト防水の改修費用を比較するときは、「撤去工事一式」のようにまとめられているより、何にいくらかかるのか確認できる見積もりの方が比較しやすくなります。

少なくとも、次の項目がどこに含まれているか確認します。

  • 既存防水層の撤去
  • 保護コンクリートやモルタルなどの撤去
  • 撤去材の集積・搬出
  • 廃材処分
  • 下地調整・補修
  • 改修ドレンなどの付帯工事
  • 新しい防水層の施工
  • 足場・揚重・養生などの仮設工事


たとえば撤去単価が安く見えても、廃材処分費や搬出費が別項目で大きく計上されていれば、撤去に関係する総額では他社より高くなることもあります。反対に、単価が高く見えても、搬出や処分まで含まれている可能性があります。


既存の屋上防水全体の費用相場や、見積もりを見るときの考え方は別の記事で詳しく説明しています。

見積もり全体の金額も比較したい方へ。

屋上防水の費用相場を見る




アスファルト防水は必ず全面撤去するわけではない

既存のアスファルト防水が古くなったからといって、毎回すべて撤去するとは限りません。防水改修には、既存防水層を撤去して新しい防水層を施工する「撤去工法」と、既存防水層を残してその上から新しい防水層を施工する「かぶせ工法」があります。


アスファルト防水部会では、かぶせ工法のメリットとして、撤去による廃材の削減、既存防水層の機能を活用できること、施工中の漏水リスクを抑えやすいことを挙げています。一方で、既存防水層の劣化が激しい場合には撤去方式を採用する考え方も示しています。

参照:JWMAアスファルト防水部会|建築防水分野


撤去工法では既存防水層を取り除くため、下地を直接確認して補修できるメリットがあります。その一方、撤去作業や廃材処分が増え、騒音・振動が発生しやすく、工期も長くなる傾向があります。


かぶせ工法は撤去作業を減らせるため、費用や工期を抑えやすい方法です。ただし、既存防水層や下地の状態によっては採用できません。「撤去費をなくしたいから、かぶせ工法にする」という費用だけの決め方は避け、現在の防水層が新しい工法の下地として使える状態か確認する必要があります。

参照:アスファルト防水の撤去工法とは?かぶせ工法との違いやメリット・デメリットも解説




撤去とかぶせ工法は既存防水層を調べてから決める

撤去するか、既存防水層を残すかを判断するときは、費用だけでなく現在の屋上の状態を確認します。防水層の劣化状況、漏水の有無、下地との接着状態、既存工法と新しく施工する材料の相性などによって、選べる改修方法が変わるためです。


当社の施工実績には、東京都小平市でガムクール断熱工法を施工した事例があります。ガムクール断熱工法は、高粘着性のアスファルトシートを使用する常温粘着工法で、掲載事例では既存の防水層の上からシートを重ねて施工しています。


これは、アスファルト防水の改修では必ずかぶせ工法を採用するという意味ではありません。既存防水層の状態によって、残せる部分と撤去が必要な部分は変わります。実際の改修では、まず現状を確認し、その建物に合う方法を決めます。

参照:東京都小平市 ガムクール断熱工法




アスファルト防水の見積もりは撤去単価だけで判断しない

アスファルト防水の撤去単価を調べるときは、金額そのものより「何を撤去する価格なのか」を確認することが重要です。既存防水層だけを撤去するのか、保護コンクリートまで対象なのか、搬出・処分・下地調整を含むのかによって、同じ㎡単価でも工事内容が違います。


また、既存防水層の状態によっては、全面撤去ではなく、傷んだ部分を処理したうえでかぶせ工法を検討できる場合があります。反対に、下地まで傷みが進んでいれば、撤去して状態を確認した方がよいケースもあります。


見積もりを依頼する際は、「撤去単価はいくらですか」だけではなく、既存防水の仕様、撤去する範囲、廃材処分の有無、下地補修、新しい防水工法まで含めて説明を受けると、金額差の理由を比較しやすくなります。


既存防水を撤去するか、かぶせて改修するかを含めて確認したい方へ。

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